相続手続のすべて|専門家が教える実務の流れと注意点
家族が亡くなった後、相続手続はすぐに動き出さなければならない局面が続きます。「どの順番で進めるのか」「どんな書類が必要なのか」「いつまでに何をすればよいのか」が整理できないまま、時間だけが過ぎてしまうケースも少なくありません。相続は感情的に辛い時期と重なるため、冷静に手続を進めることが難しいと感じる方も多いものです。
本記事では、相続手続の実務的な流れと、実際に手続を進めるうえで注意すべきポイントを体系的に解説します。相続は法律に基づいて進める必要があり、順序や書類を誤ると時間や費用の負担が増える可能性があります。全体像と実務の要点を押さえることで、円滑な相続手続を目指します。
相続手続は「相続人の確定」「財産の調査」「遺産分割協議」「各種名義変更」という流れで進みます。それぞれのステップに正確な対応が求められ、一つの段階での誤りがその後の手続全体に影響することもあります。全体の流れを体系的に把握したうえで実務に臨むことが、スムーズな相続手続の第一歩です。どこから手をつければよいか迷っている方も、この記事を読み終えるころには具体的な行動イメージが持てるはずです。

目次
相続手続の基本構造を理解する
相続手続を実務的に進めるためには、まず「どのような順序で何を行うのか」という全体構造を把握しておくことが重要です。構造を理解せずに個別の手続を進めると、抜け漏れや順序の誤りが生じやすくなります。ここでは、相続手続の全体の流れと、実務で混乱しやすいポイントを整理します。
相続開始から完了までの流れ
相続は被相続人(亡くなられた方)の死亡と同時に法律上自動的に開始されます。当事者が何らかの意思表示をしなくても、財産を引き継ぐ権利と義務が相続人に発生します。相続人が遠方にいる場合や、死亡の事実をすぐに知ることができなかった場合も同様です。相続は自動的に開始されるという前提を実務の出発点として持つことが重要です。
相続人調査・財産調査・遺産分割の三段階
相続手続は大きく「相続人調査」「財産調査」「遺産分割(および名義変更)」の三段階に整理できます。この順序には意味があり、相続人が確定していなければ協議ができず、財産の全体像が把握できていなければ公正な分割ができません。三段階を順序通りに進めることが実務の基本です。
各段階は並行して進められる部分もありますが、前段階の完了が次段階の前提となる部分では順序を守ることが求められます。特に相続人の確定は、すべての手続の出発点となる最重要の作業です。一人でも相続人の確定が漏れていると、後から行った遺産分割協議が無効となるリスクがあります。また、相続人の中に未成年者や認知症の方がいる場合は、代理人や成年後見人を立てる必要が生じることもあり、早期に把握しておくことが重要です。
法律上の原則と実務上の違い
民法では相続人の範囲や相続分が定められていますが、実務上はこの法律上の原則とは異なる形で手続が進むケースが多くあります。この点を理解しておくことで、実務の場面での対応がスムーズになります。
法定相続分と実際の分割方法
民法では、配偶者と子が相続人の場合、配偶者が2分の1・子全員で2分の1(均等割り)という法定相続分が定められています。しかし実務上は、法定相続分通りに分割するケースは必ずしも多くありません。相続人全員の合意があれば、どのような割合での分割も可能です。
たとえば、同居していた子が不動産をすべて取得し、その代わりに他の相続人が預貯金を多く取得するといった分け方も認められます。ただし、遺留分(相続人が最低限受け取れる権利)を侵害する分割は後からトラブルになる可能性があるため注意が必要です。遺留分は配偶者・子・父母に認められており、遺留分を考慮した分割設計が実務上の重要なポイントです。
実務で混乱しやすいポイント
相続手続の実務において、特に混乱が生じやすいポイントがいくつかあります。あらかじめ把握しておくことで、実務での対応を適切に行うことができます。よくある混乱ポイントを事前に知っておくだけで、手続の効率が大きく変わります。
戸籍収集の範囲
実務で最初につまずきやすいのが、戸籍謄本の収集範囲です。「どこまで遡って取得すればよいのか」「どの役所に請求すればよいのか」がわからず、収集が不十分なまま手続を進めてしまうケースがあります。必要な戸籍が揃っていないと、法務局や金融機関での手続で書類不備となり、やり直しが発生します。被相続人の出生まで遡って戸籍を収集することが原則です。
名義変更の優先順位
相続が発生すると、不動産・預貯金・有価証券・自動車など複数の財産の名義変更が必要となります。実務上は、令和6年4月から義務化された不動産の相続登記を優先して進めることが重要です。また、預貯金は口座凍結の状態が続くため、生活費などに影響する場合は早めに手続を進める必要があります。財産ごとに状況を判断しながら、名義変更の優先順位を計画的に決めることが実務上のポイントです。
相続人調査と財産調査の実務
相続手続の第一ステップである相続人調査と財産調査は、その後のすべての手続の土台となります。ここでの精度が低いと、後の遺産分割協議や名義変更で問題が発生します。時間をかけてでも確実に進めることが重要であり、相続人と財産の両方を正確に把握することが実務の起点となります。
戸籍収集の実務的な進め方
相続人を確定するためには、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍謄本を含む)を収集する必要があります。また、相続人全員の現在の戸籍謄本・住民票も必要です。戸籍の収集は本籍地の市区町村役場に請求しますが、転籍・婚姻などで本籍地が変わっている場合は複数の役所への請求が必要になります。
出生から死亡までの戸籍を追う理由
被相続人の出生から死亡までの全戸籍を収集する理由は、認知した子や過去の婚姻による子の有無を確認するためです。こうした事実が戸籍から判明した場合、当初把握していた相続人とは異なる構成になることがあります。認知・過去の婚姻による子の有無は戸籍でしか確認できません。
戸籍の記載内容は法律用語が多く難解なため、専門家による確認が手続の確実性を高めます。収集した戸籍をもとに「法定相続情報一覧図」を法務局で登録すれば、各種手続で戸籍謄本一式の代わりに活用できます。この一覧図を活用することで、複数の金融機関や法務局への手続を効率的に進めることができます。また、戸籍取得の代行を専門家に依頼することで、収集の手間と時間を大幅に削減できます。
相続関係説明図の作成意義
収集した戸籍をもとに、被相続人と相続人の関係を図形式で整理した「相続関係説明図」を作成します。これは法定の書類ではありませんが、実務上非常に有用な書類です。法務局への登記申請時に戸籍謄本の原本還付を受けられるため、相続関係説明図の作成は手続の効率化に直結します。
相続人の人数が多い場合や代襲相続が発生している場合など、複雑な相続関係を視覚的に整理するうえで特に効果的です。相続人全員で相続関係説明図を確認し合うことで、認識の共有にもつながります。相続関係説明図をもとに法定相続情報一覧図を登録すれば、認証済みコピーを複数取得でき、各種手続での提出書類が大幅に簡便になります。
以下に、相続人確定および財産調査で必要となる主な書類をまとめます。
| 調査の種類 | 必要な書類・情報 | 取得先 |
|---|---|---|
| 相続人調査 | 被相続人の出生〜死亡までの戸籍謄本一式 | 本籍地の市区町村役場 |
| 相続人調査 | 相続人全員の現在の戸籍謄本・住民票 | 本籍地・住所地の市区町村役場 |
| 不動産調査 | 登記事項証明書・固定資産評価証明書 | 法務局・不動産所在地の市区町村役場 |
| 預貯金調査 | 通帳・残高証明書 | 各金融機関 |
| 有価証券調査 | 保有残高証明書 | 各証券会社 |
| 負債調査 | 借入残高証明書・契約書類 | 各金融機関・消費者金融等 |
財産調査の具体的手順
財産調査では、プラスの財産(不動産・預貯金・有価証券など)とマイナスの財産(借入金・保証債務など)の両方を網羅的に把握することが求められます。一方だけを調査して手続を進めると、後から思わぬ負債が発覚するリスクがあります。プラス・マイナス双方の財産を漏れなく把握することが、財産調査の大原則です。
不動産・預貯金・株式の確認
不動産については、固定資産税の納税通知書や登記事項証明書をもとに所在地・地番・評価額を確認します。固定資産税の納税通知書に記載されている不動産がすべてとは限らないため、登記事項証明書と納税通知書を照合することが確認の基本です。山林・農地・未登記建物など、納税通知書に記載されない財産が存在することもあるため注意が必要です。
預貯金については、通帳や郵便物などの手がかりをもとに金融機関を特定し、残高証明書を取得します。被相続人が複数の金融機関に口座を持っている場合は、すべての口座を特定することが求められます。過去の郵便物や手帳のメモも確認することで、口座の見落としを防げます。株式・投資信託などの有価証券については証券会社に問い合わせて保有状況を確認し、評価額の基準日を統一することが実務上のポイントです。
生命保険については保険証券を確認し、死亡保険金の受取人が誰かを把握しておく必要があります。生命保険の死亡保険金は、受取人が指定されている場合は受取人の固有財産となり、原則として遺産分割の対象にはなりませんが、相続税の計算対象になることがあります。早い段階で確認しておくことが望ましいです。
債務(借入金など)の把握
負債の調査は、プラス財産の調査と並行して進めます。調査対象には、金融機関からの借入金、消費者金融の残債、クレジットカードの未払い残高、未払い税金、連帯保証債務などが含まれます。通帳の引き落とし履歴や手元の契約書・郵便物を確認することで、手がかりが得られます。
信用情報機関(CIC・JICCなど)へ情報開示請求を行うと、借入状況の一部を確認できます。連帯保証人としての債務も相続の対象となることは見落としがちな点であるため特に注意が必要です。負債がプラス財産を上回ると判断される場合は、相続放棄の検討が必要となります。相続放棄には期限があるため、負債の把握は相続開始直後から速やかに進めることが求められます。

遺産分割協議の進め方と注意点
財産の全体像が把握できたら、相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行います。遺産分割協議は相続手続の中核をなすプロセスであり、ここでの合意内容がその後の名義変更手続の根拠となります。丁寧に、かつ漏れなく進めることが後のトラブル防止につながります。
協議の進行方法
遺産分割協議は相続人全員が参加して行います。特定の相続人を除外したり、一部の相続人だけで進めたりすることは認められません。相続人全員の参加が、協議成立の絶対条件です。
全員参加の原則
遺産分割協議に全員の参加が必要な理由は、相続開始と同時に遺産が相続人全員の共有財産となるためです。一人でも欠けた状態で行われた協議は法律上無効となり、後から問題が発生します。遠方に住む相続人がいる場合でも、全員の参加・合意が求められます。
実務上は、相続人全員が一堂に会することが難しい場合もあります。そのような場合は、郵便・メール・電話などを活用して意思疎通を図り、最終的に全員の署名・押印を得ることで協議書を完成させます。意思疎通の手段は問わないが、全員の合意は必須という点を押さえておくことが重要です。
協議が長期化すると、その間に相続人の状況(転居・死亡など)が変わり、手続がさらに複雑になるリスクがあります。できるだけ早い段階で情報を共有し、話し合いを始めることが円滑な協議への近道です。また、民法では法定相続分が定められていますが、相続人全員が合意すれば法定相続分と異なる分割も可能です。 各相続人の生活状況や希望を尊重しながら、公平感のある合意を目指すことが大切です。
遺産分割協議書の作成実務
遺産分割協議が整ったら、その内容を「遺産分割協議書」という書面に記録します。遺産分割協議書は、相続登記の申請や金融機関での払戻し手続など、各種名義変更において提出が求められる重要な書類です。口頭での合意だけでは後のトラブルを招く可能性があるため、合意内容は必ず書面化することが実務の原則です。
実印・印鑑証明書の添付
遺産分割協議書には、相続人全員の署名と実印による押印が必要です。さらに、各相続人の印鑑登録証明書を添付することが求められます。実印と印鑑証明書を組み合わせることで、「本人が確かに合意した」ことを公的に証明できます。
実印と印鑑証明書はセットで証明力を持ちます。 印鑑登録証明書は住所地の市区町村役場で取得しますが、手続先によっては発行から3か月以内のものを求める場合があります。取得のタイミングには注意が必要です。印鑑登録をまだ済ませていない相続人がいる場合は、早めに登録手続を行っておく必要があります。
記載内容の具体性が重要な理由
遺産分割協議書に記載する財産情報は、具体的かつ正確に記載することが実務上の重要ポイントです。不動産であれば、登記事項証明書に記載された所在・地番・地目・面積などを正確に転記します。預貯金であれば、金融機関名・支店名・口座種別・口座番号を明記します。
記載が曖昧だと手続先で書類不備と判断されます。 特に不動産の情報は「自宅」などの表記では登記申請で受理されません。実務では、登記事項証明書を手元に置きながら協議書を作成することが基本です。また、後から追加の財産が発覚した場合に備えて、「本協議書に記載のない財産については改めて協議する」旨の条項を入れておくことも有効です。
遺産分割協議書は手続先ごとに1通ずつ提出を求められる場合があるため、相続人の人数や手続先の数に応じて複数作成しておくと便利です。原本を多く用意しておくことで、各機関への対応をスムーズに進めることができます。
トラブルを防ぐための配慮
遺産分割協議でトラブルが起きやすいのは、相続人間で情報共有が不十分なまま話し合いが進む場合や、特定の相続人が主導して話を進めようとする場合です。透明性のある情報共有がトラブル防止の基本です。
相続人全員が遺産の全体像を把握した状態で話し合いを始めることが大切です。また、それぞれの相続人の希望や生活状況を尊重しながら進めることが、円満な合意への近道となります。話し合いが難航する場合は、第三者の専門家に間に入ってもらうことも選択肢の一つです。感情的になりがちな相続人同士の話し合いに専門家が関与することで、冷静に事実を整理し合意に向けた道筋を立てやすくなります。
どうしても合意が得られない場合は、家庭裁判所の調停手続を活用することが現実的な解決手段となります。調停では調停委員が間に入り、双方の意見を聞きながら合意形成を促します。調停でも解決しない場合は審判に移行し、裁判官が分割方法を決定します。裁判手続は時間とコストがかかるため、当事者間での解決が望ましいといえます。

相続手続に関わる重要な期限
相続手続の中には、法律で期限が定められているものがあります。期限を過ぎると選択肢が大幅に狭まったり、金銭的なペナルティが生じたりすることがあります。期限のある手続を最優先事項として管理することが実務上の鉄則です。特に相続放棄と相続税申告の期限は短く、相続開始直後から意識しておく必要があります。
相続放棄・限定承認の期限
相続が開始すると、相続人にはプラスの財産だけでなくマイナスの財産(借金など)も引き継ぐ義務が生じます。この義務を回避するための手続が「相続放棄」と「限定承認」です。どちらも家庭裁判所への申述が必要であり、いずれも期限内に手続を完了させることが絶対条件です。
原則3か月以内の手続
相続放棄・限定承認の申述期限は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」です。この期限内に家庭裁判所に申述しなければ、単純承認(すべての財産・負債を引き継ぐこと)とみなされます。
3か月以内に財産・負債の調査が完了しない場合は、家庭裁判所に「熟慮期間の伸長」を申し立てることで延長が認められる場合があります。期限が迫っている場合でも、まずは専門家に相談することが重要です。なお、3か月を経過していても特別な事情がある場合に相続放棄が認められるケースもあります。近年は、財産の有無に関わらず疎遠な関係を理由に相続放棄を希望するケースも増えており、そのような場合も早めの相談が有効です。
相続税申告の期限
相続した財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告と納税が必要となります。相続税はすべての相続に発生するわけではありませんが、基礎控除額を超えると判断される場合は期限内の申告・納税が不可欠です。
10か月以内の申告義務
相続税の申告・納税期限は「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内」です。この期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税が課されます。 相続税の申告は税理士が担当しますが、申告に必要な情報(相続人の確定・遺産の評価など)の準備には司法書士や行政書士との連携が必要な場面もあります。
相続税の計算には不動産の評価(路線価方式など)や株式の評価など、専門的な知識が必要です。早い段階で税理士にも相談することが、適正な申告額を確保することにつながります。 遺産分割協議が決まる前でも、相続税の概算について税理士に確認しておくことをおすすめします。
相続登記の申請期限
令和6年(2024年)4月1日から相続登記が義務化されました。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する義務があります。過去に発生した相続にも適用されており、令和9年(2027年)3月31日までに申請が必要です。名義が放置されている不動産は早急に対応することが求められます。
以下に、相続手続における主な期限をまとめます。
| 手続の種類 | 期限 | 期限超過のリスク |
|---|---|---|
| 相続放棄・限定承認の申述 | 相続開始を知ってから3か月以内 | 単純承認とみなされ負債も引き継ぐ |
| 準確定申告(被相続人の所得税) | 相続開始を知った翌日から4か月以内 | 延滞税・加算税が課される |
| 相続税の申告・納税 | 死亡を知った翌日から10か月以内 | 延滞税・無申告加算税が課される |
| 不動産の相続登記 | 取得を知った日から3年以内 | 10万円以下の過料が科される可能性 |
※上記は一般的な目安です。個別の状況によって異なる場合がありますので、詳細は専門家にご確認ください。

実務でよくあるミスとその対策
相続手続の実務において、よくあるミスのパターンがあります。これらを事前に把握しておくことで、同じ失敗を避けることができます。特に、財産の見落とし・書類不備・期限管理の失敗は多くの相続案件で繰り返し発生するミスです。よくあるミスを知っておくことが実務の失敗防止につながります。
財産の見落とし
実務で最もよくあるミスの一つが、財産の見落としです。プラスの財産だけでなくマイナスの財産(負債)の見落としも問題ですが、特に問題になりやすいのが不動産の見落としです。財産調査では、複数の情報源を照合して網羅性を確保することが不可欠です。
名義が古い不動産の確認
数十年前に相続が発生した際に名義変更をしないまま放置されている不動産は、実務上よく見られるケースです。固定資産税の納税通知書には記載がある一方、登記名義は被相続人の親や祖父母のままになっているケースも存在します。登記事項証明書で必ず現在の名義を確認することが重要です。
令和6年4月の相続登記義務化を踏まえると、過去の未処理分も含めて早期の対応が求められます。名義が複数世代前のままだと、関係者が増えて手続が大幅に複雑化します。場合によっては数十人規模の合意が必要になることもあり、早期発見・早期対応が最善策といえます。また、固定資産税の納税通知書に記載されていない山林・農地・未登記建物なども存在することがあるため、複数の情報源を組み合わせた不動産調査が実務の基本です。
書類不備による手続の遅延
相続手続での書類不備は、手続全体の遅延を招く原因となります。法務局や金融機関での手続で書類不備が判明すると、再取得・再作成が必要となり、時間と手間が余分にかかります。事前に必要書類の種類と取得先を確認してから収集することが基本です。
特に多い書類不備のパターンとして、戸籍の取得漏れ(出生に遡る前に収集を止めてしまうケース)、印鑑登録証明書の有効期限切れ、遺産分割協議書の財産記載の不正確さ(地番の誤りなど)が挙げられます。
以下に、書類不備が起きやすい主なケースとその対策をまとめます。
・戸籍謄本の収集が途中で止まっている(出生までさかのぼれていない)
・印鑑登録証明書の発行日が手続先の求める期限を超えている
・遺産分割協議書の不動産情報が登記事項証明書と一致していない
・相続人全員の署名・実印押印が揃っていない
・金融機関独自の相続届出書の記載漏れや署名欄の押印忘れ
これらは事前にチェックリストを作成して管理することで防ぐことができます。チェックリストによる書類管理が手続の遅延防止に効果的です。 専門家に依頼することで、書類の過不足を確認しながら手続を進められるという点も、依頼のメリットの一つです。
期限管理の失敗
相続手続の失敗のなかで、最も深刻な結果をもたらすのが期限管理のミスです。相続放棄の期限(3か月)を過ぎると多額の負債を引き継ぐことになり、相続税申告の期限(10か月)を過ぎると加算税が発生します。期限管理は、相続手続の中で最も重要な管理事項です。
期限管理で失敗するケースとして多いのは、「手続の種類によって期限が異なることを知らなかった」「複数の手続の期限を混同してしまった」「手続に着手するのが遅れて期限が迫ってしまった」といったパターンです。これらは相続手続への不慣れから生じることが多く、はじめて相続を経験する方が特につまずきやすいポイントです。
対策としては、相続開始後できるだけ早い段階で全手続の期限一覧を作成し、優先順位をつけて管理することが有効です。相続発生後すぐに期限管理表を作成することが、期限超過を防ぐための最善策です。専門家に依頼することで、期限管理をまとめて任せられるという点も、専門家活用の大きなメリットの一つです。

相続手続の実務でお困りなら「司法書士法人・行政書士 おしたに事務所」におまかせください。
愛知県名古屋市天白区を拠点とする「司法書士法人・行政書士 おしたに事務所」は、相続手続に関するさまざまな実務サポートを行っています。相続登記(不動産の名義変更)から遺産分割協議書の作成、相続放棄の申述、戸籍取得の代行まで、相続に関わる手続を幅広くサポートしています。
当事務所では、戸籍の資料集めにお困りの方向けの戸籍取得代行サービスや、法定相続情報一覧図の手続代行も取り扱っています。「どの戸籍を取得すればよいかわからない」「手元の書類で足りるか確認したい」という段階からのご相談にも対応しています。書類収集から申請まで一貫してサポートを受けることで、手続の負担を大きく軽減できます。
不動産の相続登記については、令和6年4月の義務化を踏まえた対応も行っています。名義が古いままの不動産こそ、早めにご相談いただくことをおすすめしています。 過去に発生した相続で放置されている不動産がある場合も、ぜひご相談ください。放置期間が長くなるほど関係者が増え、手続が複雑になります。
代表司法書士の押谷聡志は、宅地建物取引士の資格も有しており、不動産に関する実務に精通しています。宅建業者・測量士・土地家屋調査士とも連携しており、不動産に関する相続手続を総合的にサポートできる体制が整っています。不動産に強い司法書士への相談を希望している方にも安心してご依頼いただけます。
また、相続税申告が必要なケースでは、信頼できる税理士との連携体制も整えています。司法書士・行政書士・税理士それぞれの専門領域をカバーしながら、あらゆる相続手続を任せられる事務所を目指しています。一つの窓口で複数の専門家と連携しながら対応を進められることは、手続全体のスムーズな進行につながります。
さらに、相続が発生する前の生前対策として、遺言作成のサポートも行っています。公正証書遺言の作成支援から、法務局での遺言書保管制度を活用した自筆証書遺言の作成サポートまで対応しています。遺言を残しておくことは、残された相続人のトラブルを未然に防ぐための有効な手段です。「争続」を防ぐための準備についても、お気軽にご相談ください。
※実際のサービス内容、対応可能範囲、手順などは案件により異なる場合がございます。詳しくはお問い合わせください。

まとめ
司法書士法人・行政書士 おしたに事務所は、相続人調査や相続登記など、相続手続に関する実務をサポートしています。相続は法的な知識だけでなく、正確な書類作成と期限管理が求められる分野です。本記事で紹介した流れと注意点を参考に、確実に手続を進めていくことが重要です。
相続手続は「相続人調査・財産調査・遺産分割・名義変更」という流れで進みます。各段階には順序があり、前のステップが完了していなければ次のステップに進めない部分もあります。全体像を把握したうえで段階ごとに対応することが基本です。
実務上は、戸籍収集の範囲の誤り・書類不備・期限管理の失敗という三つのミスが繰り返し発生しやすい問題です。事前にチェックリストを作成し、優先順位をつけて管理することがミス防止の有効策です。特に相続放棄の3か月・相続税申告の10か月という期限は絶対に見落とさないよう意識しておきましょう。
また、相続手続の中でも不動産の相続登記は令和6年4月から義務化されており、3年以内の申請が法律上の義務となっています。過去に発生した相続で放置されている不動産がある場合も、適用対象となります。名義が古いまま放置されている不動産がある場合は、早急に対応を検討することをおすすめします。
遺産分割協議においては、相続人全員の合意形成が求められます。感情的になりやすい場面だからこそ、専門家に早めに相談することで冷静な対応が可能になります。話し合いが難航する前に第三者を交えることが、円満解決への近道です。
相続手続は複雑で、慣れていない方には大きな負担となる作業です。書類作成・戸籍収集・登記申請など、専門的な知識と経験が求められる場面では、早めに専門家のサポートを活用することが確実な手続完了への近道です。お困りのことがあれば早めに相談することが、失敗しない相続手続への最善策です。「司法書士法人・行政書士 おしたに事務所」では、相続手続に関するご相談を随時お受けしています。
